>back

 

「構想」第六号 2004.3.23


にょんのおはなし

赤崎美也子


にょんのお話を読んでみよう。


にょんは恋をした。
その子の名前はみゃあ。
明るくて、やさしくて、かわいい子だ。

にょんはこの気持ちをみゃあに伝えたかった。
でも、こんな気持ちは初めてで、どうしていいかわからなかった。
しょうがないので、逆立ちしてみたが、いい考えは出てこなかった。

ある日、散歩をしているとにょんはつまづいて転んだ。

巻物だった。

広げてみると、「愛の伝達方法」が書いてあった。

 

「愛の伝達方法」
@ことば
Aスキンシップ
B一緒に過ごす時間
Cおくりもの
D相手の望むことをするサービス

 

やった!これでボクの気持ちをみゃあに伝えられる!
にょんは早速、この方法をつかってみることにした。

まずは、ことばで伝えてみた。
「みゃあ!ボ、ボボ、ボクは君を愛してるー!」
突然、みんなの前で知らない子からこんなことを言われて、みゃあは真赤になるとにょんの顔も見ずに逃げていった。
・・・愛は伝わらなかった。

次にスキンシップで伝えてみた。
寒そうに震えているみゃあをうしろから抱きしめてあげた。
突然、知らない子に抱きしめられて、みゃあは叫び声をあげると、にょんの顔をぱちんとたたいて逃げていった。
・・・また、愛は伝わらなかった。

それから、一緒に過ごす時間で伝えてみた。
みゃあがどこへ行く時も一緒にくっついていった。
突然、知らない子についてまわられて、みゃあは逃げていき、家から出ないようになった。
・・・やっぱり、愛は伝わらなかった。

そして、おくりもので伝えてみた。
みゃあの家に大きなバラの花束を抱えていった。
「みゃあ!みゃあ!君にプレゼントを持ってきたんだ!開けておくれよ!」
何度も何度もドアをノックした。

バンッとドアが開くとみゃあがでてきた。
「うるさいわね!もうやめてよ!もう、私のまわりを付きまとわないで!」
みゃあは泣いていた。
にょんも涙が出た。
・・・どうしたら、愛は伝わるのだろう…?

にょんはまた、どうすればいいのか分からなくなった。
また、考えて、考えて、考えて・・・
逆立ちしてみたが、やっぱりいい考えは出てこなかった。

しょうがないので、最後に、相手の望むことをすることで愛を伝えることにした。
みゃあがボクに一番してほしいこと・・・

にょんはみゃあに愛を伝えるのをやめることにした。


すてきなお話だったね。

でも、もう少し早くこのお話に出会いたかったな。
パタムと絵本を閉じる。
そうすれば、こんなにまで君を傷つけなくても良かったのに。
初めて入った彼女の部屋で見つけた絵本を本棚に戻す。
足下に目をやると、彼女が横になっている。
ボクの愛を受け入れることのなかった「みゃあ」が・・・。
・・・二度と目を開けることなく。

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送